002 Exhivision's Killer Tune.

2007.07.20

アオキ:おひさしぶりです、おひさしぶりです!
イワホリ:ですね。我々の持ち芸ともいえる、クロストーク!今回のお題は、ズバリ「キラーチューンとは?」という大ネタも大ネタなのです。
アオキ:ええと、雑誌「MUSICA」の8月号が、まさに「キラーチューンを撃つ!」という特集でありまして。キラーチューン・メイカーへのインタビューと、時代を彩ったキラーチューン年表からなるものなのですが、「じゃ、僕らのキラー・チューンってなんなのよ?」とか「ここ、どうなの?」とつっこみをいれたい部分もありまして、大ネタではありますが、いっちょおしゃべりしてみましょう、と相成ったわけです。
イワホリ:ええ。で、まずは"tomorrow's song"の方で、アオキ/イワホリそれぞれの俺キラーチューン10曲を挙げてみたわけなんですが、もう一度、それぞれの楽曲を見てみましょうかね。

AOKI's Killer Tune

・Better Days / Scudelia Electro
・天体観測 / Bump of Chicken
・サラウンド / クラムボン
・ロックンロール / くるり
・希望 / 100s
・七月七日 / Bungee Jump Festival
・Raspberry / Triceratops
・青い車 / Spitz
・Rocks / Primal Scream
・Freedom / The Jerry Lee Phantom

アオキ:ええと、アオキの10曲なのですが、ほとんどがリフ勝負!みたいなロックナンバーなのよね。
イワホリ:うんうん。
アオキ:"Raspberry"と"希望"と"Freedom"なんて「4小節リフ→リズム入ってどーん!」て構成が全くおんなじだからね。抜き出しながらどんだけ好きなのか、とあきれました、自分で(笑)。
イワホリ:型ですねもはや。
アオキ:うそのフォーマット自体が大好きなのだろうなあ、と思いました。
イワホリ:でも、リフから入るかメロディから入るか、てのは、DJやる時なんかの繋ぎやすさも含め一つのポイントだよね。
アオキ:うん。やっぱり、自分のなかでぐわっとくるのは、まずリフなのね。あと、リズムパターンとか。
イワホリ:"Rocks"なんかは、ギター入る瞬間「来たぁ!」てなるもんねー。
アオキ:まさにウィリー・ダッシュができるのが、ワタクシのなかのキラー・チューンだと思う。一気に血液逆流する感じ?
イワホリ:ああ(笑)。イントロとともに血圧急上昇、な感じだ。
アオキ:そうそう。「っっっっっっっっっしゃああああ!!!」っての(笑)。
イワホリ:"天体観測"とか、ジャパンのDJブースとかでかかると凄いからなぁ、人の流れが。「麻原出てきたぁ!!」て感じの(笑)。
アオキ:ぶははは!ソンシあらわる!
イワホリ:ある意味、神がかってるって感じの(笑)。
アオキ:や、実際キラー・チューンってそうじゃない?オンガクの神様がキスしたような、さ。
イワホリ:あ、いいこと言うね。今「集団ヒステリー」っていおうと思って、軽く反省した。
アオキ:…もう(笑)。
イワホリ:いや、その位、日常の自分では考えられないところに連れてってくれるっていうさ。
アオキ:"Rocks"ってさ、僕らの世代、というかここ日本においては、完全にクラブシーンでのキラー・チューンじゃない?
イワホリ:うんうん。もはや定番っつうか、スライがサンプリングした風にも聴こえるという(笑)。
アオキ:でも、xtrmntrのツアーで来日した時に、セット終盤のいっちばんいいところで演ったのよ。アルバムがアルバムだから、そこまではわりとフロアも静かなる熱狂、みたいな雰囲気だったんだけど。あのイントロひとつでどっかーん!てなってさ。
イワホリ:燃えるわなぁ。
アオキ:飛び込み競技みたいにひとがぽんぽん飛んでた(笑)。そんなCLUB CITTAの夜。
イワホリ:あのアルバムで今でもやんの、ロックスくらいだもんなぁ。ロックンロールバンドにとって、昔の曲をライブでやる、てのはあんま気が乗らないものだろうけど。
アオキ:キラー・チューンて、なんか、もうバンドの意思を越えたりもするのかもねー。
イワホリ:そうそう。それでも演奏され続ける曲って言うのは、やっぱ、曲自体が呼ぶんだろうねー。
アオキ:うん、それっくらいのパワーを、どこかから与えられた曲なんだと思うな。

IWAHOLI's Killer Tune

・She Loves You / The Beatles
・My Generation / The Who
・A Shot In The Dark / Roland Alfonso
・Miracles / Jackson Sisters
・Smells Like Teen Spirit / Nirvana
・はいからはくち / はっぴぃえんど
・キャンディ・ハウス / thee michelle gun elephant
・ダンスナンバー / the Blue Hearts
・グッドバイ / the High-Lows
・クロマニヨン・ストンプ / ザ・クロマニヨンズ

アオキ:そしてイワホリくんの10曲ですが。完全に自分が生で体感したものから選んだワタクシの10曲とは、ずいぶんおもむきが違うわねー。
イワホリ:いや、でも生理欲求に忠実に選んでるよ?(笑)。
アオキ:ええと、なんていうかな、育ちの違いが見えるっつーか(笑)。ほら、ワタクシ完全なライヴハウス育ちですから。
イワホリ:ああ、そういうことね。俺市立図書館とTOKYO FM育ちなんで(笑)。
アオキ:ごめんごめん。ってかTOKYO FM聴こえんの!?
イワホリ:TOKYO FM系の、静岡K-MIXな(笑)。
アオキ:素直でよろしい(笑)。
イワホリ:あと、MTVね(笑)。で、まぁここに挙げた10曲は、どれも自分が音楽にのめりこみ始めた10代中盤〜後半に出会った曲ばかりなのですが。
アオキ:ええ。
イワホリ:先入観も予備知識も何もない15才が、「うひょー!」て盛り上がる、そして27才の今聴いても、15才と同じ「うひょー!」と叫べるってのが、10曲の共通点かな。
アオキ:ホリにとってはキラー・チューン=エヴァーグリーンなのかねえ。
イワホリ:…マイラバ?
アオキ:ええと、これ、ある意味小林武史トリビュート企画ですけど、それはべつに(笑)。
イワホリ:はい(笑)。エヴァーグリーンっていうか、ヒロト/マーシーのバンドを3曲も挙げてるってのが象徴的なんだけどさ。この人達って、雑誌にインタビューが載ると、翌月のハガキがみんな中学生なんだって、どのバンドの時も!
アオキ:うっわあ…。
イワホリ:しかも当然、男子(笑)。
アオキ:だって、何年やってるよ?このふたり。
イワホリ:それこそ、ブルハもハイロウズも10年選手。ブルハのころにハガキ書いてた中学生が、次の中学生の担任になってたっておかしくないのよ。
アオキ:おかしくないどころか、生徒会室でタイガーモービル聴いてたワタクシも、もうそういう立場ですよ(笑)。
イワホリ:長く続けてきて、世代を超えて聴かれるバンドって日本にも世界にもいるけれど、バンド自体は変わってるけど、その都度中心のファン世代が入れ替わるなんて、世界中見渡してもヒロトとマーシーだけ。
アオキ:たしかになー。
イワホリ:だから、もう存在自体がキラーチューンというか(笑)。センセーショナルであるって意味では、常にキラーチューンを生んでるよなぁ、っていうのを、ヒロト/マーシーには感じるわけです。
アオキ:なるほど。存在自体が14才、てことだ。
イワホリ:そうそう。

"Killer Tune" or "Anthem"?

イワホリ:前にもちらっと書いたんだけれど、キラーチューンとアンセムの違い、てのもこのリストでは意識していて、それこそ、今の話でいったらザ・ハイロウズの"14才"なんて曲は、もう国歌にしたいくらいの好きな曲なわけです。
アオキ:このトーク収録前のおしゃべりでいっちばんのハイライトだったと思うのは、その違いが腑に落ちた、てことだよねー。「曲に震えるか、歌として震えるか」、"tune"と"song"の違いが、そのままキラー・チューンとアンセムの違いであると。そう考えると、ワタクシがさっきリフだのフォーマットだの言って、定義付けしたのもしっくりくる。
イワホリ:うん。キラーチューンはね、背負っちゃいけないんだよ。
アオキ:リフに酔って、リズムに乗れば、それはもうキラー・チューンなのかしらね。
イワホリ:こう、余韻を楽しむって言うよりは、数分間のあいだどれだけ真っ白になれるかっていう何てったってキラーなわけですから、ぶっ生き返される余地なんて残しちゃいけないわけですよ。
アオキ:うははは!その点、アンセムはやっぱりじっくり噛み締めてしみこませて繰り返す、てかんじがするよね。
イワホリ:そうそう。刹那的ではない。あと、アンセムの方が、いい意味で大衆的というか。
アオキ:大合唱曲!
イワホリ:もしくは、大ヒット曲というか。結婚式とか葬式にかけても相応しいような。
アオキ:90年代の、国内大ヒット曲って、わりとアンセムだよな。"君がいるだけで"とか、"愛は勝つ"とか、"それが大事"とか。
イワホリ:そうそう。そんなに音楽詳しくない人でも、聴けばわかるっていうか。キラーチューンのかかる葬式ってやっぱなんかやじゃん?(笑)
アオキ:"ロックンロール"で出棺、とかやだよなあ(笑)。裸足のまーまーで逝ーくー、何も見えーなーくーなーる♪
イワホリ:そりゃ天国のドアも叩くけどさ(笑)。
アオキ:てことは、ホリはやっぱり"Don't look back in anger"で出棺ですか。
イワホリ:振り返りませんね(笑)。
アオキ:うはははは。
イワホリ:幾ら好きでも、"Burn Baby Burn"はやだもんな(笑)。
アオキ:"I Stared Fire" とか、だいぶ意味が変わってきますよ?
イワホリ:ははは!あ、これは完全に余談なんだけどさ、OASISの"Live Forever"のPVって、後に首になるドラマーを他の四人で土葬するっていう(笑)。
アオキ:ぎゃー(笑)。
イワホリ:ま、それは冗談として(笑)。世につれないだけの強さや美しさを持った曲が、キラーチューンであると言えるかな。
アオキ:うん。それは間違いないかと。
イワホリ:人によって、キラーのツボってのもそれぞれありそうだしねー。この2人でもポイントは違うわけだし。
アオキ:「MUSICAのなかで定義がはっきりしてない」みたいな事も言ったけど、そう簡単にくくれるものでもないね、やっぱり。
イワホリ:まぁ、趣味嗜好ってのはありますからね。
アオキ:単純に、売れた曲=時代のキラー・チューンでないのも明らかだし。
イワホリ:そうそう。好みのツボはあれど、公式通りに当てはまれば全部当たりかっていったらそんなこともないし。
アオキ:「次のリリースで絶対好きになるなあ」と思いっぱなしのバンド、結構あったりするし(笑)。
イワホリ:ははは!届きそうで届かない。

□ □ □

イワホリ:でも、不思議なのは、幾つになっても、好きな音って絶対新しく出てくるんだよねー。
アオキ:わあ、それはいい指摘だ。たしかに。
イワホリ:先に挙げたのは、基本10代の時に聴いたものだけれど、もちろんここ1、2年でも大好きなキラーチューンは沢山出会って来たし。
アオキ:そだね。この半年くらいで僕らがいっちばんわかりやすく殺されたのって、"ONE NIGHT STAR"だし(笑)。
イワホリ:ははは(笑)。
アオキ:互いが息絶えていく様を、タワレコ店頭で看取りましたからね(笑)。
イワホリ:でもアロウズにしたってさ、ぶっちゃけこんなのパルプじゃん、て言っちゃそれまでじゃん?
アオキ:うはははは!身も蓋もねえ!
イワホリ:でも2007年に聴いてちっとも古くさくないし、きっちりとアロウズ流のキラーチューンになってると思うのよ。
アオキ:この曲、インディーズ時代のバージョンて、聴いた?
イワホリ:ああ、うん。なんか途中でばてそうなやつね(笑)。
アオキ:あれ、ほんっと、おもしろくないのよね(笑)。
イワホリ:ひでえ(笑)。
アオキ:いや、ギターのフレージングとか、メロディとかコーラスと歌詞とか、そういう基本の部分は全然変わってないのよ。でも、今年リリースされたモノはまったく違う曲に化けたのよね。バンドの基礎体力がついたせいなのか、プロデューサの手腕なのかわからないけれど、ほんのひと振りのスパイスで全然違う。そのへんがやっぱり神様のキスって言えるんだろうなあ、なんて思ったりするよ。
イワホリ:うんうん。こんな音があればいいのに、ていう音楽って、絶対出てくるんだよねー。
アオキ:時代が音を呼ぶ、っていうとなんだか大掛かりに過ぎるんだけど、次から次へと素敵なロックバンドがでてくるUKロックマーケットなんかをみてると、やっぱりそういう波があるのかも、っって感じる。
イワホリ:ま、だから、今ホント楽しいよねー(笑)。
アオキ:ええ。ま、ビーチズとかは、不意打ちすぎましたけど、ワタクシにとっては(笑)。
イワホリ:いや、ビーチズだって時代の流れに沿ってるじゃん?まぁ前身を好きな人程ショック大きいだろうけれど(笑)。
アオキ:ごめん、まだ顔がまともに見れない(笑)。
イワホリ:でも、クラッシュに代表される革と鋲と地下室の世界と、そのクラッシュも愛したカリブ海の太陽の下のビートとの繋がりを、ああいう形で融合させてるのって凄く新しいと思うけどなぁ、ビーチズ。
アオキ:うん、唯一なバンドだとは思う。ただお気楽南国ビート、ってだけじゃなくて。
イワホリ:エルレとかドーパンを(これ以上)悪く言うつもりはないけれど、そういうのを好きな人にほど、新しい発見の可能性があると思うからね、ビーチズなんて特に。
アオキ:そうねえ。アジカン好きにはぜひにAshを。
イワホリ:といった感じで、我々エキシビジョンも、まだ出会ったことのない未来のキラーチューンとの出会いを今後も追求していきます!
アオキ:キラーチューンはどこから降ってくるかわからないからね、たまにはイヤホンを外して街へ、クラブへ、ライヴハウスへ!
イワホリ:おおー、かつてないアクティブな結びだ(笑)。
アオキ:あ、フェスって言い忘れた(笑)。
イワホリ:ぎゃ(笑)。
アオキ:てな感じで、次回は夏フェス想い出話満載でお送りしまーす!
イワホリ:じゃ、夏にどこかで会いましょう!
アオキ:最後に問題です。今年の夏フェス、イワホリは誰のアクトで何回号泣するでしょう?
イワホリ:泣かねえよ!
アオキ:答えは次回更新で!
イワホリ:泣いたことなんかねえ!ただの自律神経失調だ!


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