「この曲は、地元を飛び出して、俺をロンドンに向かわせた曲のひとつなんだ」

そう語るのはアーヴィン・ウェルシュ。90年代ロンドン・サブカルチャーの金字塔、「トレインスポッティング」の原作者だ。彼もまた、青年期にクラッシュの洗礼を受けた一人だ。1961年生まれだから、丁度10代後半でクラッシュと出会った、オリジナル・パンク世代の人間だ。

「俺が出入りしてた廃ビルやアパートじゃ、一日中かかってて、俺たちの国歌って感じだった。この曲のおかげでインソムニアック、不眠症になっちまったくらいさ。この爆音が鳴り響いたとたん、部屋の角を蹴りまくって、落ち着いちゃいられなかったさ。」

"ロンドン・コーリング"期あたりまで、彼らのライブのオープニング・ナンバーになることも多かった"Clash City Rockers"。タイトルの通り、都会のロッカー、パンクスの象徴が俺たちクラッシュだという宣言、まさに代名詞といえるナンバー。

「乱暴かつ精密なイントロのギターリフが刻まれる瞬間、聴くもののハートは奪われ、真の偉大な音楽の存在を知らされる。パンクってのは原則、男のユース・カルチャーで、パンク・ソングてのは、過去のラッドな偶像主義−ボウイや、ゲイリー・グリッターみたいなね−を、奔放に蹴っ飛ばす存在だったのさ。言っておくけど、俺たちがクラッシュに衝撃を受けたのは、容姿をキメて、軍隊のように振舞ったとこじゃないんだぜ。俺たちみんな、外からみりゃ怪しい、怒れる、退屈した若いクズの集まりだったからなのさ。」

場所や時代背景こそ違えど、「トレインスポッティング」に登場する若者達も、社会からはみ出した、ヤク中のはみ出し者達を描いていた。ウェルシュの青年期の、クラッシュによって覚醒した反社会的なスタイルが影響していると言っても過言ではないだろう。

■the clash / Clash City Rockers



(c) 2007-2008 exhivision some rights revered .